2012年4月16日月曜日

"Would you show me where your mind is?"

「メンタルトレーニング」とは
「最大限の成果を得るために感情や気持ちを管理する練習」
だと思っていませんか?
実際のところ、私はそう思っていました。
ちょうど松岡修造氏の動画のように


ところが
留学前に国連で働いていた人にアドバイスを聞いていた所、
「mindは頭にあるから。mind, heart, soulと3つ違うところに一つの欧米文化の特徴がある」
と言うでは在りませんか。
これは確かめないと、と密かに留学の目標の1つにして出国したものです。




さて、実際にカリフォルニアにきてみました。
アメリカ人達が頭を指して
「mindを使わないと」
と言っているのを見て、そのことが本当であることを再確認し
おもしろがっていました。
手元のmacに搭載されているThesaurusでmindのsynonymを引いても最初に出てくるのは
"BRAIN"
ですしね。

さて、mind/mental(adj)が「知性や意識」を指すとなると、
「メンタルトレーニング」のより正確な訳語は
「精神訓練」というより
「知性訓練」となるから
全然印象違いませんか?



ところで
最近、アメリカで話題になっている問題の一つが
「タバコのpackageに肺がんや肝臓がんのおぞましい写真を載せることに意義が在るか」
です。

これは、タバコ会社がpackageにこうした写真を載せることを義務づけるのは憲法違反だと
ついに反論し始めたことがきっかけです。
http://www.ktvq.com/news/federal-court-to-decide-graphic-tobacco-labels/
(微グロ注意)



まず自分の立場を明らかにしておくと
私は
「日本で室内禁煙が許されていることに疑問を抱くぐらいの分煙派」
です。

ただ、それでもこの
「packageに直接的に気分を害する写真を載せれば喫煙者は減る」
というのは
"mindful"だとは思えないのです。

というのも
昨期、実際に喫煙者の禁煙の治療に当たったことのある心理学者
の授業にて、依存状態の多くは
「短期的な利害関係を長期的な利害関係より重視してしまうこと」
に原因が在るということを知ったからです。
簡単に言うと「分かっちゃいるけどやめられない」ということなんですが、
例えば、

>>
食後にタバコを吸う習慣のある人は、食後にタバコを吸わないとどうも落ち着かない。
タバコが身体に害を及ぼすのは知っているけど、丁度手元にタバコと灰皿も在るし
一本だけなら、、と吸ってしまう。
>>


こういうのが典型的な中毒パターンです。
それを治療するには、
禁煙が如何に大切か説くより(半喫煙派からの視点)
または、自分の感情の弱さを責めるより(治療者側からの視点)

「その行動がどういう効果を持つか分析した上で、その行動を管理した方が効果的だ」
という考え方が行動主義心理学に在ります。
つまり、

  1. 習慣の環境の変更 (食後は速やかに禁煙スペースに行く)
  2. 習慣の効用の代替管理(食後はガムを噛む癖を付けてスッキリさせる)
  3. 短期的な効用最適化行動に対する短期的な賞罰(吸ったら罰金、吸わなかったらご褒美)」

これなら割とすぐ出来そうな気がしませんか?
結論としては、
感情の部分、例えば「本当に禁煙したいと思うこと」
は確かに大切なことなのですが、
それだけで問題の所在に対して思考停止点に陥ってしまうと、
解決できるものも中々できなくなってしまうことがあるのではないか。
ということです。


さて、論理的な飛躍を覚悟で少しどや顔をしておくと、

何か失敗した人は
「自分のメンタルが弱い」
と浅い感情の問題で片付けてしまうことは在りませんか?


または逆に万事順調な人は、他者の環境/前提や行動の持つ効用に目を向けずに
「がんばらなかったのがいけない。俺/私みたいにがんばれ」
と言ってしまうことはありませんか?


感情があってこその人間なので知性だけの人間を賞賛するものでは決してありませんが
少なくとも自分の大切な物のためには
自らのMindを使えるような
mental trainingに長けた人間になれればと思います。僕はね。




さて、冒頭の”heart”,"mind","spirit"は基督教における「三位一体論」、
また、逆に日本において「意識」と訳されがちな"Conscience"
は「善悪を判断する心」であって、アダムとイブがエデンの園を追われるきっかけとなった
「知恵の実」そのものであり(僕とよく話している人は耳タコだと思いますが笑)、
両者とも西欧文化を知るにあたって必要不可欠な概念なのですが
長くなってしまうので、今日はこの程度で。

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