2012年2月19日日曜日

アメリカと日本のAnnual Report(有報)に対する姿勢の違い

AKQJ10さんからのコメントへの返信がてら記事を書いてみます。

公認会計士の試験科目と、UCLAでの科目の内容の違いはどんなものなのでしょう。
国内で手に入れられるもの、入れられないものなど日本と米国の会計、金融、経済のレベルについてブログで書いてもらえれば光栄です^^ 


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まずコメントありがとうございます。
会計士の勉強中とのことで、お疲れさまです。


米国公認会計士(USCPA)の試験科目は
FAR(財務会計)、BEC(内部統制と管理会計)、REG(会社法と税法)、AUD(監査)
なのでほぼ一緒です。UCLAではIntermediate Accounting がFARに相当しています。


ただ、受験資格上、UCSPAは大学でのビジネス専攻学士以上を前提にしている点は大きいです。
市販のテキストもWiley Reviewと、既に勉強済みの人を対象としています。
日本公認会計士試験合格がBig4就職の切符になるのとは違い、
USCPAはBig4に就職した人が受けるというケースの方が多いと聞きました。
少し科目というよりは、受験制度の違いになってしまいましたが、こんなところでしょうか。


会計の違いとしては幾つか面白い点があるのですが、
ここでは有価証券報告書/ Annual Report のフォーマットの違いを挙げたいと思います。
フォーマットといっても、恣意的な操作が無いように
有報/Annual Report(10K)の様式自体は似ているのですが、アメリカだと
Annual Reportの前に添付する形で、経営者からのメッセージなどを載せているケースが多くて
興味深いです。日本でも株主総会向けに飾り立てられたレポートが載せられることがありますが
経営者のビジョンがはっきりと分かるというケースは(私が見てきた中では)少なかったです。


たとえば、Buffettで有名なBerkshire HathawayのAnnual Reportにおける
株主へのメッセージはまとめが出版物になるくらいです。
GoogleのAnnual Reportもfounder's letterがアラブの春にまで話題が及び読み物として楽しめました。


さて、昔『四季報』の編集者によるセミナーに出たときに聞いた耳より情報で


「会社のホームページに社長の写真が出ていない企業は要注意」


というものがありました。
というのも、社長が写真を出さないのは、社長のリーダーシップが欠けていたり、自信が無い証拠とも
考えられるから、とのことです。


面白いのは、アメリカでも経営者がはっきりと出てくる所の方が勢いが良いことが多いです。
特に、最近倒産して(Chapter11を申請して)話題になったKodakですが、そのAnnual Reportを見ると
Year 2006では経営者がAnnual Reportに


「どーん!」




と出ていたのに
Year2008には
だけとなりました。
まさに会社の状態を反映している、と(笑




財務諸表で収益等数字だけではなく、
こういった経営者の姿勢まで見通して読めると楽しいですよ。

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